■ 企画展・イベント

イベント

 

ネットで短歌2018冬 ~結果発表~

nettanka-04-02

 

2018 年冬実施分

 

te-ma
「雪」または自由

 

gurannpuri
 1首 図書カード 5000円分



  

大和田奈々子さん (28歳) 茨城県

kin

 

朝食にしようかと言い雪かきを終えた母より立ち上る湯気


kin

【選評】

雪の多い地域の冬の毎日は、雪との格闘に多くを費やされることと思います。しかし、ニュースなどで雪かきの大変さを想像することはできても、体験したことのないものにとってそれを実感するのは難しいものです。「雪かきを終えた母より立ち上る湯気」と端的に可視化したこの歌からは、朝飯前の労働、くらしの温度が伝わってきます。印象深い一首です。


 

jyun
5首 図書カード 3000円分


 

角森玲子さん (50歳) 島根県

gin

 

そういえば雪が苦手な人だった別れてからも時々思う

 

gin

【選評】

思い出には、景色をともなうもの、匂いをともなうもの、その人の笑顔や、手や肩や髪など一部分だけを思い出すものなど様々な場合があります。作者は雪によってその人を思い出すのですね。その人について具体的なことは描かれていませんが、描かれていない分、幅のある物語を感じさせます。

 


 

 

古賀由美子さん (63歳) 佐賀県

gin

 

冷凍庫開ければ五個の雪うさぎ「はい、これも」孫がまた入れにくる


gin

【選評】

めずらしく積もった雪に嬉々として雪うさぎを作る幼子。冷凍庫にそれを大切に入れるとは、いつかそれは融けてしまう、そのはかなさをすでに感覚的に理解しているのでしょうね。作っては入れる楽しみを「はい、これも」と口語でそのまま表現して、生き生きとした一瞬をすくった歌になっています。

 


 

 

甘酢さん (41歳) 神奈川県

gin

 

かじかんだ指にしみいる甘酒の熱さが徐々に心に届く


gin

【選評】

初詣など屋外でいただく甘酒には、得も言われぬ美味しさがありますね。それを味覚ではなく「熱」の動きに徹して詠んだところが面白い歌です。「かじかんだ指」が感じる熱と、「心」が感じる熱は、物理的には違うものなのかもしれません。けれど「熱」とは一体何ものか、そんなことも思わせてくれます。


 

  

久保田洋二さん (68歳) 茨城県

gin

 

ふんわりと降る粉雪のお蔭なり ふんわり響く我がプロポーズ


gin

【選評】

粉雪がふんわり降ってくれたから、プロポーズの言葉もふんわりとやさしいものになった。雪の質感をリフレインさせることで、歌自体もふんわりとしたやさしいものになっています。「お蔭なり」という少し照れ隠しのような文語も効いています。

 


 

  

田中亜紀子さん (47歳) 三重県

gin

 

雪を待ちくたびれた子へ粉砂糖たっぷり乗せたフレンチトースト


gin

【選評】

こちらは、めずらしく雪の予報が出たのに、結局降らなかった歌。「雪を待ちくたびれた」お子さんへ、雪のような粉砂糖をたっぷりふりかけたフレンチトーストを作ってあげたお母さん。きっとお子さんの記憶には、雪とおいしいフレンチトーストが結びつけられたことでしょう。

 


 

kasaku

 

 

荒井千代子さん (66歳) 新潟

せわしなく冬は里へと下りてきて雪の絵の具で描く風景画


do

西村由佳里さん (42歳) 広島県

まなうらにしんしんと降るぼたん雪会わなくなってすでに六年
do

野中泰佑さん (37歳) 高知県

雪でさえ吾が身に重きモノとなる夜勤終えたる介護士の帰路

do

瀧澤淳子さん (55歳) 長野県

産院ゆ大雪のなか連れ帰る吾子抱くわれに路拓く夫

do

田中瑞貴さん (14歳) 大阪府

君に会う明日こそは降ってくれ 冬のてるてる坊主に逆さに

do

 

 

 

 

多数のご応募、誠にありがとうございました。

 

 協力・選評 与謝野晶子倶楽部 運営委員 勺 禰子