さかい利晶の杜
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お知らせ

ネットで短歌2017冬 ~結果発表~

2018年1月20日

ネットで短歌

nettanka-04-02

 

2017 年冬実施分

 

te-ma
「雪」または自由

 

gurannpuri
 1首 図書カード 5000円分



  古賀 由美子さん(62歳)佐賀県

kin

待っていた言葉を雪が奪いとる君の口から熱い息から


kin

【選評】

降りしきる雪が、やっと口を開いた君の言葉をかき消してしまう。まわりの景色を一切詠まず、雪が言葉を「奪いとる」という激しさを込めた擬人化で読み手を引き込み、熱い息を吐いている君の口元をクローズアップして終わる。映画で観てみたいシーンです。でも、たとえどれほどすばらしい映画を作ったとしても、この一首がすでに全てを言い表しています。それほどに凝縮力の高い、記憶に残る一首です。

 


 

jyun
5首 図書カード 3000円分


 

田村 穂隆さん(21歳)島根県

gin

白猫に雪と名付けてそれからは毎日あたたかい冬である


gin

【選評】

真っ白な猫を「雪」と名付けた作者。漢字からくる印象ではなく「ゆき」と声を出して呼び、ともに暮らす。猫の雪はもちろんあたたかい。白くて冷たい雪を思いながら今日も猫の雪とたわむれる。冷たさとあたたかさを「雪」に教えてもらう作者。淡々とした詠みぶりが、白猫の存在感を際立たせています。


 

羽生田 幸来さん(22歳)東京都

gin

降る雪を見上げる首がすきだらけあなたのためにマフラーを編む


gin

【選評】

あなたは降ってきた雪を見上げている。だからわたしは安心してあなたの首元を見つめている。その首が寒そうだからマフラーを編んであげたい。それだけでは一首として弱いところを、見上げる首が「すきだらけ」だから編んであげるのだとちょっぴり強がる作者。心の揺れがきちんと読み手に伝わってくる歌です。


 

小松 桃子さん(31歳)福島県

gin

暖かな土地に嫁いで空見上げ雪とはこんなに儚かったか


gin

【選評】

生まれ育った場所より暖かなところに嫁いだという作者。豪雪地帯の雪はずっしりと重く、毎日の暮らしに大変な影響と存在感を与えてきたことでしょう。新しい暮らしを育んでいる場所に降る雪は、慣れ親しんできた雪よりも軽い。その気づきが、土地の違いや人の違いへの気づきにつながり、感慨を深めています。

 


 

好井 晶子さん(63歳)香川県

gin

変わりゆくうわべの私変わらずにある内側を自撮す歌に


gin

【選評】

心身ともに変化する「うわべの私」。でも、変わらない「内側」があるのだと作者は言います。それを最近流行の「自撮(り)」に掛けつつ、写真ではなく歌に詠みとりたいと宣言したところに、個性と潔さのようなものを感じました。ただ、結句の語彙や語順は再考の余地があるのでは、とも思います。

 


 

金本 梨央さん(23歳)東京都

gin

冷たさを隠して夜をわたりゆく自由が欲しくて名乗る名は雪


gin

【選評】

冷たさを隠して夜をわたるのは雪でしょうか、作者でしょうか。作者はきっと、夜の雪が自由を求めているように思い、そんな雪に自分を重ね合わせたのではないでしょうか。冷たさを隠して自由を求めるのは、誰も傷つけたくないから。孤独だけれど冷たくはない、やわらかな感性を持つ作者像が浮かぶ一首です。

 


 

kasaku

 

山崎 玲子さん(66歳)千葉県


ふる里の母を悩ます降雪の今朝の晴天ほっと茶を飲む


do

大塚 麻里さん(33歳)神奈川県


こんなのはなんだか私らしくない空っぽになった水槽見つめて


do

 室賀 美里さん(15歳)長野県


雪の日の澄んだ空気に澄んだ空澄んだ瞳がこっちを向いた

do

安田 清一さん(61歳)千葉県


はしゃぎ居る君が背中に雪礫(ゆきつぶて)我の思いは遊びに非(あら)ず

do

矢吹 圭さん(20歳)広島県


理科室の机上に残る落書きの「スキ」の隣に「俺も」の二文字

do

坂本 真史さん(57歳)山梨県


雪掻きにもう限界と言う姉をひと月の後(のち)天に見送る

do

角森 玲子さん(49歳)島根県


雪の中貴方(あなた)に渡したプレゼントちいさなものにすればよかった

do

児玉 洋祐さん(37歳)神奈川県


故郷(ふるさと)に降らぬ深雪(みゆき)が降り積もる故郷離るる我の心に

do

安藤 知明さん(75歳)大阪府


樺太を望まんと来し宗谷の地吹雪に阻まれ遠き故郷(ふるさと)

do

坂倉 秀樹さん(70歳)大阪府


舞う雪に空を仰いで口あける少女のごとき古稀の妻なり

do

 

 


 

 

今回は応募総数が多かったため、追加で佳作を10首選評していただいています。

下は10歳、上は85歳の方といった幅広い年代の方にご応募いただき、中にはご夫婦や親子でご応募いただいたものもあり、気軽に参加いただけるネットならではのこの催しを通して、多くの方に短歌の輪が広がってくれることを嬉しく思います。

全体的にテーマの『雪』が積もって喜んだり困ったりする気持ちを詠んだ歌や、寒い季節ならではのロマンチックな歌が多い印象を受けました。

今回もグランプリの方には図書カード5000円分を、準グランプリの方々には図書カード3000円分をお送りさせていただきます。

 

 

多数のご応募、誠にありがとうございました。

 

 

協力・選評 与謝野晶子倶楽部 運営委員 勺 禰子

 

 

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