■ 企画展・イベント

イベント

 

ネットで短歌2018夏 ~結果発表~

nettanka-04-02

 

2018 年夏実施分

 

te-ma
「向日葵」または自由

 

gurannpuri
 1首 図書カード 5000円分



  川崎  颯 さん(9歳)北海道

kin

太陽のかけらが一つ落ちているもうすぐ夏が終わりそうだよ


kin

【選評】

ひまわりの花びらのを「太陽のかけら」と表現するのは、実はそう独創的なことではないのですが、この歌のすばらしいところは、たった一枚落ちている花びらを見逃さず、そこに夏の終わりの気配を感じ取ったことです。そのとき、「太陽のかけらが一つ落ちている」という比ゆは、夏の終わりを告げる、象徴的な風景になります。たくさんのできごとを詰めこみ過ぎず、すっきりとしたいい歌になりました。

 


 

jyun
5首 図書カード 3000円分


 

田村 穂隆 さん (21歳)島根県

gin

真夜中のひまわり畑どうすれば君を救い出せたのだろうか


gin

【選評】

「真夜中のひまわり畑」は、とてもドラマチックです。このあと不用意に多弁になると、場面がドラマチックなだけに一首のバランスが悪くなってしまいます。この作品はその誘惑に乗らず、真夜中のひまわり畑を(そのような状態のなかにいる「君」を)じっとみつめ、救い出せたかもしれない方法について自問自答しています。「救い出せたのだろうか」と、過去形になっているところに痛みを感じます。


 

木村 由里亜 さん(42歳)大阪府

gin

来年は植えてみようと思い立つリスの遺した向日葵の種


gin

【選評】

部屋で一緒にくらす小動物は、家族のようなもの。そのリスが死んでしまい、えさのひまわりの種が残ってしまったんですね。そのまま捨ててしまうのではなく、来年植えてみようと思う作者。リスが生きていたら芽吹かなかったであろう向日葵の種のなかに息づくものを感じさせて、さみしくもあたたかさの伝わる歌です。


 

居川 ひとみ さん(20歳)広島県

gin

午後3時向日葵畑を駆け巡る私以外を見ないでください


gin

【選評】

「私を見て」と「私以外を見ないで」は、たとえば数式ではイコールになるのかも知れませんが、文学表現としてはまったく違います。より強い願望が込められた、しかも命令ではなく懇願しているような「私以外を見ないでください」の下句に、ドキッとします。明るいのに夕方に近づく「午後3時」という設定も絶妙です。できれば「3」は「三」としたいところです。

 


 

櫻淵 陽子 さん(46歳)大阪府

gin

何しても大きくならない向日葵に優しく声をかけることにする


gin

【選評】

毎日水をやり、ときには肥料もほどこし、大切にたいせつに育ていても、大きくならない向日葵。作者はそこで、本当に自分にできることについて、思いを巡らせたのですね。植物に優しく声をかけても育つわけなんてない。それはもしかして、人間の思い込みかもしれません。優しい声を待っているのは、向日葵だけではないかもしれませんね。

 


 

高橋 まりえ さん(66歳)北海道

gin

海は好き波は嫌いとはしゃぎつつ波打ち際を走る少女ら


gin

【選評】

海という概念のようなものは好きという。けれど、実体である波は嫌いだという。実際は、そんな理屈っぽいことなど考えずに、楽しそうにはしゃいで波打ち際を走っているだろう少女たちの、無意識だからこそ本質的な言動を見逃さなかった作者。「海は好き・波は嫌い」というリズミカルな対比が効いています。

 


 

kasaku

 

堺 紀彦 さん(47歳)滋賀県


乗り換えのホームの向かい向日葵がまじろぎもせず僕を見ている


do

久保田 洋二 さん(67歳)茨城県


向日葵はみんなこちらを見てくれる何かスピーチしてもいいかな


do

安田 清一 さん(61歳)千葉県


夏野菜詰めた地方紙読み耽る今年の盆は帰ると決めて

do

荒井 千代子 さん(65歳)新潟県


ひとり居の部屋が華やぐ向日葵の花を三本花瓶に挿せば

do

好井 晶子 さん(64歳)香川県


向日葵の微笑む顔がならんでるデイサービスのバスの車体に

do

 

 

 

次回は10月1日(月) 9:00より、

テーマ「紅葉」または自由 で募集開始いたします。 

 

多数のご応募、誠にありがとうございました。

 

 協力・選評 与謝野晶子倶楽部 運営委員 勺 禰子